峰の原高原の冬は、幻想的な銀世界が広がります。しかしながら、居住するとなると決してやさしいものではありません。
今回は厳しい峰の原高原の冬について触れていきたいと思います。
極寒の世界
朝、外気温計に目をやると、氷点下15度、時には氷点下20度を下回ることも珍しくなく、冬の厳しさを数字として突きつけられます。水道管の凍結や破裂を防ぐための対策は日常となり、少し気を抜けばボイラーの不調や給湯トラブルに直結します。凍りついた大地と向き合いながら、暮らしを維持することそのものが、この地の冬では一つの仕事でもあります。
特に大変なのが、日々の除雪です。夜のうちに降り積もった雪は、朝には容赦なく生活動線を塞ぎます。車の周り、建物の出入口、作業場への道。雪かきは一度やれば終わりではなく、天候次第では一日に何度も繰り返す必要があります。腕や腰に蓄積する疲労と向き合いながら、「雪国で暮らす」ということの現実を、毎冬あらためて実感します。
しかし、こうした厳しさの先にこそ、峰の原高原の冬だけが持つ特別な美しさがあります。
一面を覆う雪は、風景のすべてをやさしく包み込み、森や建物、道の輪郭を静かに際立たせます。音は雪に吸い込まれ、世界は驚くほどの静寂に満たされます。その中に身を置くと、普段いかに多くの音に囲まれて暮らしているかに気づかされます。
晴れた日の朝、放射冷却で一層冷え込んだ空気は、驚くほど澄み切っています。深く息を吸い込むと、肺の奥まで冷気が届き、頭が冴え渡るような感覚を覚えます。
冬の空気は厳しい反面、雑味がなく、自然そのものの輪郭をはっきりと感じさせてくれます。
澄んだ空気 ー 満点の星空
そして、夜。
峰の原高原の冬の夜空は、言葉を失うほどの美しさです。
冷え込んだ空気は水蒸気や塵を寄せつけず、星々の光を余すことなく地上へ届けてくれます。満天の星空が広がり、天の川がはっきりと浮かび上がる夜もあります。
静寂の中で見上げる星空は、時間の流れを忘れさせ、人の営みの小ささと、自然の大きさを同時に感じさせてくれます。
雪に覆われた森もまた、冬ならではの表情を見せてくれます。葉を落とした木々は、その骨格をあらわにし、雪の白と幹の黒が織りなすコントラストは、どこか彫刻的です。
動物たちの足跡が雪面に残り、彼らの気配を想像することで、この静かな森にも確かな命の営みがあることを教えてくれます。
峰の原高原の冬は、「便利」や「快適」とは距離があります。しかしその分、自然と正面から向き合い、自分たちの暮らしを自分たちの手で守り、整える時間があります。
不便さの中にこそ、本当に必要なものが浮かび上がり、季節の移ろいを全身で感じることができます。
厳しさと美しさが表裏一体となった峰の原高原の冬。
この地で冬を越すたびに、自然への畏敬と感謝の気持ちは、少しずつ深まっていきます。
雪と寒さに試されながらも、その先にある静謐な銀世界と澄み切った空気、そして満天の星空に出会えること。それこそが、この場所で冬を迎える何よりの贈り物なのかもしれません。
Minenohara Craftsでは、これからも峰の原高原の四季とともにある暮らしを、丁寧に伝えていきたいと考えています。
厳しい冬の先に広がる、この地ならではの美しさを、ぜひ多くの方に知っていただけたら幸いです。





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